「痔ろう」にかかった話

痔ろうという病気

皆さん、痔ろうという病気をご存じだろうか? 大体の方は、「そんな病気、聞いたことないよ」というだろう。 この病気は、いわゆる「 痔 」の仲間であるが、メジャーな「切れ痔」や「イボ痔」と比べて、以下のような性質を持つ。
  • 薬では治らない、つまり手術が必要
  • 発展すると「痔ろう癌」と呼ばれる癌になる可能性がある
細かい特徴は、ボラギノールのサイト (https://www.borraginol.com/type/jirou/ )に譲る。 で、何を言いたいかというと、この病気にかかってしまったことがある(今は手術の結果、完治している)。 この時の体験談をここに残すことで、同じ病気にかかった方の参考になることを期待する。

病院にかかるまで

私が痔を患ったと自覚したのは、高校2年の秋ぐらいだったので、16歳の終わりぐらいであった。この時からは、恥ずかしさもあり、医者に行かずに、だましだましやり過ごしていた。 このように、だましだまし生活していくということは、特別悪化もしないような症状であれば一つの手であるのかもしれない。しかし、私の場合は、痔ろうという手術しないと治らない種類の痔であったため、その後も結構長く苦しんだ。 最終的に病院に行こうと決心したのは、社会人4年目くらい? (28歳?) だったので、かれこれ10年近く、痔に苦しんだ形となる。 無駄に苦しんだ形となって、自分のことながらあほとしか言いようがないので、皆さんは早めに医者に行くようにした方が良い。 症状がつらいという方は、アマゾンあたりの通販サイトでボラギノールなどの痔の薬を試すのも一つの手である。

入院まで

神奈川に在住していたため、松島病院(http://www.matsushima-hp.or.jp/)という肛門科の専門病院で診てもらうことにした。 この病院、かなり有名らしく、いつ行ってもかなりの時間待たされる。 ※同病院のホームページに混雑予想( http://www.matsushima-hp.or.jp/consultation/repeated/latency/ )があるが、これを見る限り、平日30分~60分、土曜日90分以上くらいは普通なようである。 いざ診察となったが、肛門科の診察はつらいものがある。 「おしりを出してください」「力んでちゃ診えないでしょ」など、お医者さんに言われながらも、思い切って診てもらう勇気がでなかった。 「そんなに力んでちゃ、終わらないでしょうが・・・」と、10分くらいは悪戦苦闘しながらも、何とか診察が終わったと思いきや。 「あー、痔ろうですね」「痔ろうだと、切らないと(手術しないと)治らないですよ」「痔ろうは、ほおっておくと『痔ろう癌』って癌になるから」という話をされたので、観念して即座に手術を決断。 診察が終わった段階で、当時の上司に電話したところ(休んできていたので)、「えっ、嘘?」とか言われたが、部下から病院行くという話を聞いて、即座に入院になるとは思わないから当然である。 私が受けた「痔ろう」の手術は、1.瘻管(肛門腺が膿んだところ)の膿みを抜き取る、2.瘻管自体除去、の2段階で実施された。 1の膿み取りは1日手術して終わりだったが、問題は2の方の手術。こちらは、計10日程度の入院となった。

入院~手術

さて、入院の運びとなったが、なかなか興味深い体験だった。 4人部屋の病室に入院して、いろいろと身の回りの準備をしていると、おじいちゃんみたいな人が看護師さんに、「なんで、こんなに痛いんだ~~~~!!」とわめいている。しょっぱなからかなりのインパクトに唖然とするが、明日は我が身のため、幾分戦々恐々となる。 肛門も消化器の一種のため、手術までに下剤、浣腸などで腸内をきれいにされる。準備が整ったら、ストレッチャーに乗せられ、手術室までゴロゴロと運ばれる。 肛門の手術のため、テレビで見るような手術台ではなく、Uの字型の台にうつぶせで寝そべることになる。そして、作業しやすいように、台の高さが上げられ、局部麻酔などの注射を腰に打たれる。このあたりで、「違和感とか無いですか~~?」とか努めて明るく、看護師さんに訊かれていたが、詳細は忘れてしまった。 局部麻酔で手術を行っているので、お尻の方で何やらごそごそやっていて、たまに鑿みたいな機材でお尻の方を打たれるような感触があるが、何をやっているのかさっぱりわからない。気にしていると、だんだん大腸あたりに違和感が出てくるので、「すいません~~~、なんかお尻の方に違和感があるんですが~~~」とか主張する。 「じゃあ、鎮静剤を打ちましょうね~~~」、とそこそこでかい針の注射を打たれた後は、記憶がなくなり、目が覚めた時は手術がほぼ終わっていた。 執刀医の方から、「痔ろうだけでなく、イボ痔もあったから除去しておいたよ」との報告があったのは良いのだが、瘻管を除去するために肛門括約筋を切ったからと、切られた後から報告された。いまさら言われても遅い!!!

手術後(手術当日)

手術の後は安静のため、行動に制限を加えられた。術後、翌日まではベッドから降りられないとのお達しをもらう。(麻酔がまだ聞いてるので、ろくに動けなかったが・・・)。 夕方から翌朝までベッドの上であるが、問題はトイレ。術前に下剤や食事制限があったため、大きい方は催さなかったが、お小水は出したくなる。 「すいません~~~、小の方やりたいんですが~~~」と看護師に訊くと、尿瓶を渡される。 ザ・尿瓶である。しかしながら、これが尿瓶初体験であり、ベッドの上でトイレをするということにためらいだけがあり、まったく出る気配がない。悪戦苦闘しても、出ない・・・。10分くらい、何とかしようとしたが、何ともならなかった。 このため看護師さんに、出せない旨を連絡すると、最終兵器が登場した。 いわゆる、尿道カテーテルというものである。カテーテルを入れる時と、抜く時の感覚が何とも言えないが、やっと解放された。 ・・・トイレが終わった後も、おいそれと出せない状況だと、めちゃくちゃ気になるものである、1時間もしないうちに、トイレをしたくなるが、「まだ大丈夫ですよ~~~」、と言われながらも、トイレに行きたいような、そうでもないようなという微妙な時間をすごし、手術当日が終わった。

手術後(1日目~退院まで)

術後2日目くらいまでは、食事が禁止になっていたため、もっぱら点滴で過ごす。それ以外は暇なので、読書やゲームをして過ごした。日数が立つにつれて、点滴、1分がゆ、3分がゆ、五分がゆ・・・というように、だんだんと固形物を食べれるようになる。 一方、問題となるのは、下の方の処理である。結構、深くまでメスを入れられたせいか、そのままではパンツに血が付くようになった。替えのパンツを用意するのは手間であるため、パンツにナプキンを入れてしのぐ。私は男だが、この際四の五の言っている余裕はない。売店まで歩いていき、自分用のナプキンを購入する。そこそこ血がでるが、いわゆる「羽根なし」(↓のような商品)を20枚入りくらいのものを購入。女性の方の苦労がちょっとわかる境遇となった。 もう一つ問題となるのは、回復の状況を確認するために、トイレをした後に看護師を呼んで、診てもらうことである。これがかなり恥ずかしい。詳細は割愛させてもらう。 ちなみに、入浴も制限され、術後数日はタオルと洗面器にお湯を入れたものを渡されて、体を拭くだけとなる。術後5日くらいから、シャワーが許され、病院内の共同シャワーが利用できるようになる。

悪性新生物(癌)の検査

痔ろうの手術を行った際に、除去した瘻管か何かを検査にかけて、悪性新生物(いわゆる癌)になっていないかが確認される。結果がわかるまで、生きた心地がしない。 検査の結果、癌は見つからなかった。一安心である。

退院後の生活と穴あきクッション

術後の経過が順調だと、退院が見えてくる。退院にあたって一つアドバイスがある。 当然ながら、しばらくの間はお尻をいたわって生活をする必要がある。退院できたからといっても、傷が完璧に治ったわけではない。このため、お尻にかかる荷重を提言する必要がある。具体策としては、穴あきクッションの活用である。↓のような奴だ。私の場合は、病院前の薬局で仕入れる。 なんだかんだで、退院後もずっと使っているので、そこそこのお値段がしても満足いくクッションを購入しておいた方が良い。   とりあえず、痔ろうに関する体験はこんなところである。  
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